キャンプの計画を立てる際、最も心が躍り、同時に頭を悩ませるのが「バーベキュー(BBQ)のスタイル」ではないでしょうか。
青空の下、ジュージューと焼けるお肉。冷えたビール。想像するだけで最高ですが、道具選びの段階になると多くの人がこの壁にぶつかります。
「憧れの炭火グリルにするか、便利なガスグリルにするか」
「炭火の香ばしさや炎の揺らぎには憧れるけれど、火おこしや後片付けが大変そう…」 「ガスは準備が簡単そうだけど、せっかくのキャンプなのに『BBQらしさ』が足りないのでは…?」
そんな不安を抱えるあなたへ。この記事では、キャンプ歴の長いベテランでも意見が分かれるこのテーマについて、5つの視点から徹底比較します。それぞれのメリット・デメリットを深く掘り下げ、あなたのキャンプスタイルに最適な一台を見つけるお手伝いをします。

1. なぜ私たちは「炭火かガスか」で迷ってしまうのか
迷ってしまう根本的な原因は、それぞれが提供してくれる「体験の質」が全く異なるからです。
炭火の魅力:五感を刺激する「非日常」
炭火BBQの魅力は、味だけではありません。パチパチと炭がはぜる音、立ち上る香ばしい煙、赤く美しく揺らめく炎。これら全てが「キャンプに来た!」という実感を高めてくれます。「不便さを楽しむ」というキャンプ本来の醍醐味が詰まっているのが炭火です。
ガスの魅力:ストレスフリーな「現代的快適さ」
一方、ガスBBQの魅力は圧倒的な効率です。スイッチひとつで着火し、火加減もダイヤル一つ。お腹を空かせた子供を待たせることなく、すぐに食事が始められます。「食べる」ことや「会話」に集中したい場合、これほど頼もしい相棒はいません。
⚠️ 初心者が陥りがちな「憧れ先行」の落とし穴 雰囲気だけで「炭火」を選ぶと、火おこしに30分以上かかり、食べる頃には真っ暗…なんてことも。逆に手軽さだけで「ガス」を選ぶと、なんだか家のキッチンと変わらなくて盛り上がりに欠ける…と感じることもあります。 大切なのは**「誰と行くか」「どれくらい時間があるか」**を軸に選ぶことです。
2. 徹底比較!キャンプ目線で見る「5つの決定的な違い」
ここからは、実際にキャンプ場で使うシーンを想定して、5つのポイントで詳しく比較していきます。
| 比較ポイント | 炭火グリル | ガスグリル |
| ① 味と香り | ◎ 本格的 遠赤外線と燻煙効果で絶品。 | ◯ 安定 失敗が少なくジューシー。 |
| ② 準備・着火 | △ 手間あり 着火〜安定まで20分以上。 | ◎ 超早い 点火してすぐ調理開始。 |
| ③ 片付け | △ 大変 灰の処理、油汚れの洗浄。 | ◎ 楽ちん 冷まして拭くだけの場合も。 |
| ④ 環境対応 | △ 風に弱い 灰が舞うリスクがある。 | ◯ 風防次第 比較的安定して使える。 |
| ⑤ コスト | ◯ ランニング安 炭は安いが毎回購入。 | △ 燃料代 ガス缶代がかかる。 |
①【味と雰囲気】科学的に美味しいのはどっち?
「炭火の方が美味しい」とよく言われますが、これには理由があります。炭火が出す**「遠赤外線」**は、肉の表面を素早く焼き固め、旨味を内側に閉じ込めます。さらに、肉から落ちた脂が炭で焼けて煙となり、その煙が肉を燻す(いぶす)ことで、独特の香ばしい風味が付きます。
一方、ガスは水分(水蒸気)を含んだ炎が出るため、しっとりと焼き上がります。焼きムラが少なく、高級ステーキハウスのような均一な焼き加減を目指すならガスの方がコントロールしやすいでしょう。
②【火おこし】儀式と見るか、労働と見るか
炭火の場合、着火剤を使っても火が炭全体に回るまで20〜30分はかかります。うちわで扇いだり、炭を組んだりする作業を「キャンプの儀式」として楽しめる人には最高ですが、空腹時には辛い作業になります。
ガスはカセットコンロと同じ感覚です。到着が遅くなってあたりが暗くなっても、すぐに調理を開始できる安心感は絶大です。
③【後片付け】撤収時の余裕が変わる
実は最も差が出るのがここです。炭火は、完全に火が消えるまで待つか、火消し壺を使って処理し、残った灰を所定の場所に捨て、煤(すす)で汚れた網や本体を洗う必要があります。
ガスグリルは、鉄板や網を洗うだけで済みます。本体の汚れもさっと拭き取る程度でOK。チェックアウトが早いキャンプ場では、この手軽さが大きなメリットになります。
3. あなたはどっち?スタイル別のおすすめ診断
まだ迷っている方のために、具体的なシチュエーション別におすすめを分類しました。
🔥 こんな人は「炭火グリル」を選ぶべき!
- 「不便を楽しむ」のがキャンプだと思っている人
- 時間に余裕がある「1泊以上のキャンプ」をする人
- 安いお肉でも最高に美味しく焼きたい人
- 食後にそのまま「焚き火」を楽しみたい人
- BBQの匂いが服についても「勲章」だと思える人
🍳 こんな人は「ガスグリル」を選ぶべき!
- 「手軽さと効率」を最優先したい人
- デイキャンプ(日帰り)や、到着が遅くなりそうな人
- 小さなお子様がいて、火の番につきっきりになれない人
- 準備や片付けの時間を減らして、遊びの時間を増やしたい人
- マンション住まいなどで、汚れ物の持ち帰りが困難な人
4. 人気キャンパーも愛用!絶対に外さない名作グリル4選
特徴を理解したところで、それぞれのスタイルを極めるための名作グリルを紹介します。初心者からベテランまで支持される「間違いない」モデルたちです。
(⭐️画像挿入:炭火グリルの片付けとガスグリルの片付け比較)
【炭火派】の決定版
■ コールマン|クールスパイダープロ BBQグリルの王道中の王道。「引き出し式ロストル(炭受け)」が最大の特徴で、網をどかさなくても炭の継ぎ足しが可能です。また、焼き網の高さを変えられるため、近火・遠火の調整も簡単。焦げ付きを防ぎ、初心者でも失敗知らずです。
■ ロゴス|ピラミッドTAKIBI 「BBQもしたいけど、焚き火もしたい。でも道具は減らしたい」というワガママを叶える一台。逆ピラミッド型の美しいフォルムは燃焼効率も抜群。食後は網を外せば、そのまま焚き火台に早変わりします。10秒で組み立てられる手軽さも魅力。
【ガス派】の決定版
■ イワタニ|炉ばた焼器 炙りや カセットガス1本で動く、卓上の名器。輻射板を使っているため、ガスなのに遠赤外線効果で炭火に近い焼き上がりを実現しています。網焼きと串焼きの両方が楽しめ、ソロキャンプや少人数での「ちびちび飲み」スタイルに大人気です。
■ コールマン|ロードトリップグリル まるでアメリカの庭先にあるような、蓋付きの大型グリル。蓋があることで「蒸し焼き」が可能になり、分厚いステーキやピザ、チキンの丸焼きなど、料理のレパートリーが一気に広がります。タイヤ付きで移動も楽々、サイトに置くだけで映える存在感です。
5. よくある質問(Q&A)
Q. ガスグリルは冬でも使えますか? A. 一般的なカセットガス(CB缶)は気温が低いと火力が落ちることがあります。冬キャンプで使う場合は、寒さに強い「パワーガス」を使用するか、OD缶(アウトドア用ガス缶)仕様のグリルを選ぶことをおすすめします。
Q. 炭火とガス、両方やりたいのですが… A. 実はそれが**「最強のスタイル」**かもしれません!メインの調理は手軽なガスコンロ(ツーバーナーやカセットコンロ)で行い、味にこだわりたいお肉だけ小さな炭火台(焚き火台)で焼く、という「二刀流」を楽しむキャンパーも増えています。
まとめ:正解は「あなたの今の気分」にある
炭火BBQとガスBBQ、どちらにも素晴らしい魅力があり、どちらを選んでもキャンプは楽しいものです。
- とことん味と雰囲気にこだわるなら「炭火」
- スマートに、時間を有効に使いたいなら「ガス」
最初はガスから始めて、慣れてきたら炭火に挑戦するのも良いでしょう。あるいは、日帰りはガス、連泊は炭火と使い分けるのも賢い方法です。 ぜひ、あなたの今のライフスタイルやキャンプの目的に合った一台を選んで、最高のアウトドア料理を楽しんでください!


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