冷蔵庫の停電対策|1000Whのポータブル電源で「24時間」守る秘策

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停電したら冷蔵庫の中身はどうなる?実際に検証してみた

台風シーズンになると、毎年のように「停電で冷蔵庫の中身が全滅した」という声を耳にします。

僕自身、2019年の台風15号で千葉に住む友人が3日間の停電を経験し、冷凍庫いっぱいの食材を廃棄せざるを得なかったという話を聞いて、他人事ではないなと感じました。

実際、電源が切れた冷蔵庫は想像以上に早く温度が上がります。一般的に、扉を開けなくても2〜4時間で庫内温度が10℃を超え始め、食品の安全ラインを割り込むと言われています。夏場なら、さらに早いでしょう。

そこで今回は、キャンプで使っている1000Whクラスのポータブル電源が、実際に冷蔵庫をどのくらい動かせるのか検証してみました。結論から言うと、ちょっとした工夫で24時間以上の稼働は十分可能です。

1000Whで冷蔵庫は何時間動く?現実的な数字を計算する

「1000Wh」をそのまま使えるわけではない

ポータブル電源を選ぶとき、容量の数字だけ見て「1000Whあれば大丈夫だろう」と思いがちですが、ここに落とし穴があります。

AC出力(家庭用コンセント)を使う場合、内蔵インバーターで直流から交流に変換するため、どうしてもロスが発生します。変換効率は機種によりますが、おおむね80〜90%程度。安全を見て80%で計算しておくのが現実的です。

つまり、1000Whのポータブル電源で実際に使えるのは約800Wh。この数字を基準に考えていきます。

冷蔵庫の消費電力は「平均」で考える

冷蔵庫の消費電力で混乱しやすいのが、起動時と安定時で大きく異なる点です。

コンプレッサーが動き始める瞬間は定格の3〜7倍(300W〜700W程度)の電力を消費しますが、これは一瞬のこと。庫内温度を維持している安定時は30W〜80W程度まで下がります。

400L前後の一般的な家庭用冷蔵庫の場合、コンプレッサーの稼働・停止サイクルを含めた平均消費電力は、1時間あたり30〜40Wh程度になります。ここでは35Whで計算してみましょう。

計算結果:24時間にはわずかに届かない

35Wh × 24時間 = 840Wh

一方、1000Whポータブル電源の実使用可能量は約800Wh。

800Wh ÷ 35Wh = 約22.8時間

つまり、何も工夫しなければ24時間にわずかに届きません。ただし、これはあくまで「何もしない場合」の話。次に紹介する方法を組み合わせれば、30時間以上の稼働も現実的になります。

駆動時間を伸ばす3つの方法(実践編)

方法①:停電前の「予冷」で温度貯金を作る

台風接近など、停電が予測できる場合に効果的なのが事前の予冷です。

停電の6〜12時間前に冷蔵庫・冷凍庫の温度設定を最強にしておくと、庫内温度をできるだけ下げた状態でスタートできます。いわば「温度の貯金」を作っておくイメージですね。

さらに、冷凍庫で凍らせた保冷剤やペットボトル氷を冷蔵室の上段に配置しておくと効果的です。冷気は上から下に流れるため、上段配置が理にかなっています。

この方法で消費電力を20〜30%程度抑えられると言われています。仮に25%削減できれば、それだけで4〜6時間の延長が見込めます。

方法②:ドア開閉を極力減らす

停電中、つい冷蔵庫の中身が気になって開けてしまいがちですが、これが意外と痛い。

ドアを1回開けるだけで庫内温度が3〜5℃上昇し、元に戻すためにコンプレッサーが余分に稼働します。1回の開閉で5〜10Wh程度の追加消費になることも。

24時間で10回開けたとすると、約75Whのロス。これは約2時間分の駆動時間に相当します。

対策として、停電前に冷蔵庫の中身をスマホで撮影しておく、必要なものは事前に取り出しておく、家族で「開けない」ルールを共有しておく、といった準備が有効です。

方法③:ポータブル電源の省電力モードを活用する

多くのポータブル電源には省電力モード(エコモード)が搭載されています。これをオンにしておくと、冷蔵庫のコンプレッサーが停止している間の待機電力を抑えられます。

24時間で70〜120Wh程度の節約が期待できるため、2〜3時間分の延長効果があります。

ただし、注意点がひとつ。機種によっては、消費電力が一定以下になると「機器が接続されていない」と判断して出力を止めてしまうものがあります。冷蔵庫のコンプレッサー停止時(10W以下)に給電が切れないか、平時に必ずテストしておいてください。

3つの方法を組み合わせた場合

方法①(予冷)で+4〜6時間、方法②(開閉制限)で+2時間、方法③(省電力モード)で+2〜3時間。合計で8〜11時間の延長が見込めます。

つまり、基本の約23時間に加えて、30時間以上の冷蔵庫稼働も十分に現実的というわけです。

冷蔵庫用ポータブル電源を選ぶときのチェックポイント

ポータブル電源を防災用途で選ぶとき、容量だけ見て決めてしまうと後悔することがあります。冷蔵庫との相性という観点で、チェックしておきたいポイントを整理しました。

①瞬間最大出力(突入電力への対応)

冷蔵庫のコンプレッサー起動時には、一瞬だけ定格の数倍の電力が流れます。ポータブル電源の瞬間最大出力がこれを下回ると、保護回路が働いて給電が止まってしまいます。

400L前後の冷蔵庫なら、瞬間最大出力2000W以上あれば安心です。

②バッテリー種類(長期保管を考慮)

防災用途では「いざというときに使えるか」が重要です。リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)電池は、従来の三元系リチウムイオン電池と比べてサイクル寿命が長く、長期保管後も性能劣化が少ないのが特徴。年に数回しか使わない防災用途には向いています。

③省電力モードの挙動

先ほども触れましたが、省電力モードの仕様は機種によって異なります。冷蔵庫のような「消費電力が変動する機器」との相性は、カタログスペックだけではわかりません。購入前にレビューを確認するか、購入後に必ず実機テストを行ってください。

④UPS機能の有無

パススルー充電中に停電が発生したとき、自動でバッテリー給電に切り替わるUPS機能があると便利です。ただし、切り替え時間(数ミリ秒〜数十ミリ秒)は機種によって異なり、冷蔵庫によっては切り替え時に一瞬電源が落ちる可能性もあります。

検討候補になる2機種を比較してみた

上記のポイントを踏まえて、1000Whクラスで冷蔵庫用途に向いている2機種をピックアップしました。どちらも一長一短があるので、自分の使い方に合わせて選んでください。

Jackery ポータブル電源 1000 Plus

容量1264Wh、定格出力2000W(瞬間最大4000W)。リン酸鉄リチウムイオン電池採用で、サイクル寿命は約4000回(70%容量維持時点)。毎日使っても10年以上持つ計算です。

拡張バッテリーに対応しており、最大5000Whまで増設可能。長期停電への備えを重視する人向けです。

気になる点:充電速度は標準的で、急速充電を重視する人には物足りないかもしれません。また、14.5kgとやや重めなので、頻繁に持ち運ぶ用途には向きません。

EcoFlow DELTA 2

容量1024Wh、定格出力1500W(X-Boost時1900W)。こちらもリン酸鉄リチウムイオン電池採用。最大の特徴は充電速度で、AC充電なら50分で80%まで回復します。

「台風が来るのに充電を忘れていた」という緊急時にも対応できる機動力が魅力。スマホアプリで電力消費をリアルタイム監視できるのも便利です。

気になる点:瞬間最大出力はJackeryより控えめ。大型冷蔵庫の場合は起動時に不安が残ることも。また、拡張時の最大容量(3040Wh)はJackeryより小さめです。

どちらを選ぶべきか

長期停電への備えを重視するならJackery 1000 Plus、充電の速さや取り回しの良さを重視するならEcoFlow DELTA 2という選び方になります。

なお、価格は時期によって変動するので、購入前に公式サイトとECサイトの両方をチェックすることをおすすめします。セール時期を狙えば、定価より2〜3割安く買えることもあります。

まとめ:事前のテストが何より大事

1000Whクラスのポータブル電源があれば、工夫次第で冷蔵庫を24時間以上守ることは十分可能です。

ただし、ここまで紹介してきた内容はあくまで目安。冷蔵庫の機種や設置環境、室温によって実際の結果は変わってきます。

だからこそ、平時のうちに一度、実際に接続して何時間動くかテストしておくことを強くおすすめします。いざ停電が起きてから「思ったより持たなかった」では遅いですから。

キャンプで活躍するポータブル電源は、非常時には家族の食を守る防災ギアにもなります。次の台風シーズンが来る前に、ぜひ一度試してみてください。

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