「今年こそフェスに行きたい」
そう思ったとき、多くの人がまずフェス名を検索する。日程、出演者、チケット価格。もちろんそれも大事だ。でも、15年以上フェスに通い続けてきた経験から断言できることがある。
フェス選びで本当に重要なのは、「どのフェスに行くか」ではなく「どう行くか」だ。
キャンプ泊か、日帰りか、ホテル泊か。この選択ひとつで、準備する荷物も、必要な体力も、当日の満足度もまるで別物になる。同じフェスに行っても、キャンプ組と日帰り組では「体験している内容」が根本的に違う。
この記事は「どのフェスがおすすめか」を羅列する記事ではない。
「自分はキャンプすべきか、しないべきか」を判断するための記事だ。
ここを間違えると、せっかくのフェスが「二度と行きたくない思い出」になる。逆に、自分に合ったスタイルを選べれば、フェスは人生を変えるほどの体験になる。
キャンプできる人向けフェスの考え方
キャンプ泊が向いている人の特徴
まず正直に言う。フェスでのキャンプ泊は、普通のキャンプより過酷だ。
向いているのは、こんな人だ。
- 「不便さ」を楽しめる余裕がある
- 寝不足でも機嫌が悪くならない
- 荷物が重くても文句を言わない
- 隣のテントの騒音を「フェスの一部」と思える
逆に言えば、快適さを最優先する人、睡眠の質にこだわる人は、無理にキャンプを選ぶ必要はない。
覚悟すべき現実
フェスキャンプには、SNSの写真には写らない現実がある。
地面の問題。フェス会場の地面は選べない。石がゴロゴロしていることもあれば、前日の雨でぬかるんでいることもある。テントを張る場所は早い者勝ちで、遅く着けば傾斜地や水はけの悪い場所しか残っていない。
気温の問題。春フェスの夜は想像以上に冷える。4月下旬でも、山間部では5℃を下回ることがある。「昼は暑かったから大丈夫だろう」という油断が、眠れない夜につながる。
音の問題。深夜まで続く宴会、早朝から始まる撤収作業。フェスキャンプで「静かに8時間眠る」のは、ほぼ不可能だと思っておいた方がいい。
最低限必要な装備カテゴリ
フェスキャンプで後悔しないために、最低限これだけは妥協してはいけない。
テント──設営が簡単で、雨に強いもの。フェス会場で30分かけて設営していたら、それだけで体力を消耗する。
→ キャンプ初心者向けテントの選び方
寝袋(シュラフ)──春フェスでも「冬用」を選ぶのが正解。寒くて眠れない夜ほど、翌日のパフォーマンスを落とすものはない。
→ キャンプ初心者向け寝袋の選び方
マット──地面の冷たさと硬さを遮断する。寝袋の性能を活かすも殺すも、マット次第だ。
→ 冬キャンプで役立つマットの選び方
チェア──テントに戻ってから、地べたに座り続けるのは想像以上にきつい。軽量でコンパクトなものを一脚持っておくと、疲労度がまるで違う。
→ キャンプチェアおすすめ15選|座り心地で選ぶ
これらを「なんとなく」で選ぶと、フェス当日に必ず後悔する。装備選びの段階で、すでにフェスの成否は半分決まっている。
→ キャンプ初心者がまず揃えるべき道具リスト

キャンプ泊ができるフェスの代表例
国内の音楽フェスでキャンプ泊が可能な代表例としては、ARABAKI ROCK FEST.(宮城)、FUJI ROCK FESTIVAL(新潟)、GO OUT JAMBOREE(静岡)などがある。
ただし、それぞれ気候条件やサイトの広さ、ルールが異なる。フェス名で選ぶのではなく、「自分の装備と経験値で、そのフェスのキャンプを乗り切れるか」を基準に判断してほしい。
→ ARABAKI ROCK FEST.26の準備完全ガイド|寒さ対策・持ち物・キャンプの注意点
→ GO OUT JAMBOREE 2026 最新情報まとめ|初心者でも安心の完全キャンプフェスガイド
キャンプできない(しない)人向けフェスの考え方
「キャンプしない」は逃げじゃない
最初にはっきり言っておきたい。フェスでキャンプしないことは、まったく恥ずかしいことではない。
むしろ、自分の体力や優先順位を正しく理解している証拠だ。「音楽を最高のコンディションで楽しみたい」という目的に対して、日帰りやホテル泊は極めて合理的な選択肢になる。
日帰り・ホテル泊のメリット
荷物が圧倒的に軽い。テント、寝袋、マット、チェア……キャンプ泊に必要な装備を削るだけで、荷物は半分以下になる。身軽に動けるから、ライブエリアでの立ち回りも楽になる。
→ フェス初心者向け荷物軽量化テク
体力を音楽に集中できる。設営・撤収の労力がゼロ。夜はベッドで眠れる。翌日も万全の状態でフェスに臨める。特に複数日開催のフェスでは、この差が後半戦の楽しさを大きく左右する。
天候リスクが低い。雨でテントが浸水する心配も、強風でペグが抜ける心配もない。悪天候時の「避難場所」が確保されている安心感は大きい。
→ 雨の日フェス必携グッズ10選|濡れずに快適に楽しむ
日帰り・ホテル泊で気をつけること
ただし、キャンプしないからといって準備が不要になるわけではない。
移動手段の確保。フェス終了後のバスや電車は混雑する。宿泊先への移動手段は事前に確定させておくこと。終電を逃すと、ホテル泊のメリットが消し飛ぶ。
ホテルの早期予約。人気フェスの周辺ホテルは、チケット発売と同時に埋まり始める。「チケットが取れてから考える」では遅い。
→ CDJ25/26 幕張メッセ周辺の穴場ホテルと前泊ガイド
荷物の預け場所。クロークがあるフェスでも、貴重品の管理は自己責任。コンパクトにまとめる工夫と、貴重品を身につけておく意識は必要だ。
→ フェス初心者向け防犯対策
日帰り・ホテル泊向きのフェス代表例
都市型フェスや、キャンプエリアがないフェスは日帰り・ホテル泊が基本になる。代表例としては、SUMMER SONIC(千葉・大阪)、COUNTDOWN JAPAN(千葉)、VIVA LA ROCK(埼玉)などがある。
これらは交通アクセスが良く、周辺に宿泊施設も多い。「フェスは好きだけど、キャンプはちょっと……」という人にとって、無理なく楽しめる選択肢だ。
どっちを選ぶべき?セルフチェック
ここまで読んで、まだ迷っている人のために、簡易チェックリストを用意した。
正直に答えてほしい。
キャンプ泊 適性チェック
□ テントの設営を一人でできる(または練習する時間がある)
→ NOなら、フェス当日に初めて設営するのは危険すぎる。
□ 3時間以下の睡眠でも翌日動ける
→ NOなら、フェスキャンプで満足に眠れる保証はない。
□ 20kg以上の荷物を背負って移動できる
→ NOなら、駐車場からサイトまでの移動で心が折れる。
□ 「汚れる・臭くなる・疲れる」を楽しめる
→ NOなら、キャンプ泊はストレスにしかならない。
□ 雨でも「まあ、これもフェスだよね」と笑える
→ NOなら、悪天候時にメンタルが崩壊する。
判定基準
5つ全部YES──キャンプ泊に挑戦する素質がある。装備をしっかり揃えて臨もう。
→ キャンプ初心者が最初にやりがちな失敗7選
3〜4つYES──キャンプ泊は可能だが、リスクも理解しておくこと。初めてなら、経験者と一緒に行くのが安全。
2つ以下YES──今年は日帰りかホテル泊を選んだ方がいい。無理してキャンプして、フェス自体を嫌いになるのはもったいない。
「無理してキャンプしない」という正解
繰り返しになるが、キャンプしないことは「逃げ」ではない。
自分の体力、経験、優先順位を正しく判断した結果の「選択」だ。フェスを楽しむ方法は一つじゃない。キャンプに憧れる気持ちがあるなら、まずはキャンプ場で練習してから、翌年のフェスに挑戦すればいい。

まとめ|フェス選び=「フェス名」ではなく「行き方」を選ぶこと
今年どのフェスに行くか。その問いに対する答えは、「フェス名」ではない。
「自分はどう行くか」──この問いに先に答えを出すことだ。
キャンプ泊なら、テント・寝袋・マットを妥協なく選び、設営を練習し、寒さと睡眠不足への覚悟を決める。
日帰りやホテル泊なら、移動手段と宿泊先を早めに押さえ、荷物を軽量化し、体力を音楽に集中させる。
どちらが正解ということはない。ただ、「自分に合った行き方」を選べた人だけが、フェスを最高の体験にできる。
準備を怠れば、どんなフェスも地獄になる。
準備を理解して臨めば、どんなフェスも一生の思い出になる。
まだ装備が揃っていない人は、こちらの記事から準備を始めてほしい。
→ フェス初心者が当日困らないための持ち物チェックリスト
→ 【フェス初心者必見】準備から楽しみ方まで完全ガイド
→ フェス初心者必見|初参加でやってはいけないNG行動
今年のフェス、最高の選択を。



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